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多大な費用をかけなくても、単価を上げる方法がある??
売上を上げるには、客数×単価×来店回数=売り上げ
上記の公式がよく知られていますが、本日はその中でも「単価」に関わるお話です。そしてすぐに実行できる…それは社員が実行できる内容であると同時に、まずは社長であるあなたから実行して欲しい内容になります。有料の広告を打つ前に、まずは金を使わなくても出来ることから始めましょう。
いますぐ、1円もコストをかけずに顧客の「単価」をあげるのは簡単!?
1円もコストをかけずに顧客の「単価」をあげようと思うのであれば…「顧客に対してタメ語(タメ口)を使う事を「会社の規則」として禁止する事」です。顧客と話す言葉は、すべて敬語。社会人として当たり前の行為なのですが、何故か顧客との付き合いが長くなればなるほど、美容師はお客さんに対してタメ語になりがち。新規客に対してはクーポン割引を付けたり丁寧な接客をするのに、ロイヤルカスタマーである常連のお客様になればなるほど接客の質が低下し、でそれでいて正規料金を請求するのが謎で仕方ありません。
常連客にこそ、丁寧な言葉遣いでエレガントに接するべきです。上品な言葉遣いにするポイントは、お客さんとの会話の中では、自分の事を、「俺」と言わずに「私」というようにしてください。
これは会社で従業員に徹底させましょう。
高単価サロンを目指すなら、まずはそれに相応しい「店の雰囲気」を作れ
「来店したお客さんがたとえ友人や身内だったとしても、全ての顧客に敬語を徹底する。」これだけでも、グッと店に高級感が出ます。単価をメニュー内容で上げよう、と思ったら、まずはその単価に見合う店内の雰囲気作りが大切です。顧客はサービス体験は施術されるメニューだけで無く、来店してから…いや、来店する以前からサービス体験は始まっています。
初回来店のお客であれば、まず店を認知し、興味を持ち、来店し、サービスを受け、退店する…この全ての体験に対してお客さんはお金を払っている、と言う事を忘れないでください。
この一連の顧客体験をカスタマージャーニーと言います。カスタマーは「顧客」と言う意味で、ジャーニーとは「旅」と言う意味です。同じ旅という意味を持つTravelよりも、Journeyとはより長い旅を指します。(比較的短い旅行はTrip)顧客があなたのサロンを認知してから、サービスを受けて美容院を出て、そして再来店するまでの長い旅の料金…それをお客さんはお会計時に払っているのです。そう思うと、長期的に見据えた店のサービス内容を考えられると思いませんか??
高単価の美容院ビジネスをしたければ、カスタマージャーニーのベースになるものは「高単価に相応しい」モノを、有形なり無形なりで用意しなければいけない事をご理解頂けたかと思います。
全ての顧客に敬語を使う。自分の事を「私」と呼ぶ、「たったそれだけなの??」と思うかもしれませんが、効果あります。まず、会社の規則として「タメ語を禁止している」美容院はほとんどありません。それだけでお客さんはその他大勢のライバル美容院で受ける接客よりもワンランク上の接客を受ける事になります。
あなたは経営者ですから、顧客にタメ語なんて使っていないと思いますが、スタッフ全員を思い浮かべてみてください。若いスタッフほど、仲が良い若いお客様とタメ語を使っていませんか??大きな声で…特に自分より年下の学生のお客様や学生の男性のお客様とかに。その店内に響き渡っているタメ語があなたの大切な美容院の雰囲気を壊しています….正確に言うと、店の雰囲気を「安く」しています。社内のルール、マニュアルとして敬語を徹底する事をお勧めします。あなたの店のグレードを高く保ってください。
あなたの社員が知らない、お金の重み
私が経営する美容院では、私以外のスタッフでカットカラーで通常15120円します。(私指名の場合はこれより高額ですが)このカットカラーで通常15120円という値段は、表参道近辺では高くもないけど安くもない、平均的な数字です。表参道という日本有数の高級地だという立地条件を考えると、まあ、いたって「普通」です。でも…お客様にとってもこれが「普通か??」というと、美容院に来るお客様の感覚は違います。もし、この15000円を、顧客が美容院ではなく、他の業種のサービスを受ける事に使ったら…
焼き肉だと、叙々苑クラスの高級焼肉をお腹いっぱい食べても、1人分くらいだとおつりが来ます。高級レストランでも、コース料理を頼めますし、それなりのランクのホテルにも泊まれる値段です。ネイルサロン、エステサロンでも、かなりのサービスを受けられます。
平成30年度の日本人平均給料は年間306万円
厚生労働省の発表したデータによると日本人の平均所得は306万円、それは毎月の給料(ボーナス含む)で計算すると25.5万円です。
その中から、税金・社会保険料を引いた、「自由に使えるお金」を可処分所得といいます。美容院ビジネスは、極端な話をすると美容院に行かなくても人は死にはしないので、「贅沢」にあたります。美容業界を含むビューティービジネス…もっと大きな括りで言うならば、この際だから思い切って私は言い切ります。全てのサービス業はこの労働人口の持っている可処分所得の奪い合いが本質である、と。
そのくらい、月額25.5万円の給与額が平均値の日本人にとって、残ったわずかな可処分所得から捻出する1万5000円を超える料金を払った時に受けられる美容院以外の他業種の「サービス」というのは、世間的には質が高いモノであり、「高級」に位置するんです。例にとって、弊社の美容院の15120円という数字を引き合いに出しましたが、これが別に他の美容院のメニュー価格だとしても同じことが言えます。
若いスタイリストほど、高級なサービスを受けた経験が少ない
若い20代のスタッフほど、所得が低いゆえ、1万円を超えるサービスを受ける経験値が少ないです。モノを手に入れるのに1万円は払う事があっても、無形の「サービス」に対して1万円以上は躊躇する人は多いのではないでしょうか??手取りで20万円くらいだとしたら、1万円の支払いで、相対的に自分の給料の20分の一もの金額を投入したことになってしまいますから、安いサービスの店で、普段の生活を済ませようとします。そこで受ける安く質の低いサービスが彼らの「常識」になってしまって、あなたが経営する美容院でも同じような振舞いをしてしまいます。
引用:消費者庁のデータより一部抜粋
その証拠に…あなたのサロンでデビューしたばかりの若いスタイリストは、割引ばかりしませんか??まあ、デビューしたばかりの最初の頃は指名客は友人たちばかりだからしょうがない、というのもありますが、実際に彼らは「自分の収入」というモノサシでサービスの基準を測っているので、提供したサービスに対して高額なお金を請求する自信がないのです。(美容師でスタイリストになった頃は誰もが経験する体験だとは思いますが…)そんな若いスタッフに対して、年間で高額な役員報酬を得ている社長のあなたの収入のモノサシと同じにお金を考えろ、と言うのは無理な話です。
だからこそ、社内でしっかりと高単価サロンに相応しい「基準」を社内規則としてカッチリ作って、社長であるあなたが求めるグレードを保って下さい。
顧客が比べているのは、隣の美容院との差ではない。世の中のあらゆるサービスと比べているのだ。
単価が低い美容院には理由があります。単価が低いサロンは、内装が、とか、立地が、とかそういう問題ではなく、共通している事は店の雰囲気に「高級感」が無いです。顧客にも、スタッフ同士でもタメ語が平気で店の中を飛び交ってます。もし、1万円を超すレストランに行って、
「メニューここに置いとくからさ、決まったら俺呼んでよ。マジでソッコー来るから」とかいうウエイトレスがいたら、違和感ありますよね。お客さんに対してでは無く、それがたとえ従業員同士であっても客に聞こえてるようじゃあ高級な店とは程遠い。
でも、それを美容師は平気でやっちゃうんですよね。私も色々な美容院に勉強のために顧客として髪を切りに行くと、美容院の中で飛び交う「顧客へのタメ口」が店内に溢れていることに驚きます。ものすごい不快。会計時にお客さんに対して「ちょっとまっててね」「あ、トイレはこっちだから」など。で、会計時にはお客さんにそれなりの値段の金額を受け取る。こんなのでは単価の上げようがありません。「美容師の社会的地位を上げる!」とか言ってる美容師さん、最近増えましたね。私は思います。敬語すら使えない大人が多いこの業界が社会に尊敬されるわけないでしょ、と。
流石に私は大体の若い美容師さんよりも年齢が上なので、タメ語を使われたことはありませんが。
まとめ:「単価を上げたい」と思ったら、まず始めにやるべきこと
単価を上げる為に、色々なテクニックはありますが、そのテクニックを駆使する前に、やるべきことはただ一つ。お客さんから「高単価を受け取るにふさわしい」美容院の雰囲気を作り上げる事です。社員も、社長自身も。
これをせずして、いかなるテクニックを駆使したところで、効果は薄いでしょう。費用をかけず、それでいて即効性の高い方法の1つとして言葉遣いによって「店のグレードを上げる」というのを一番最初に取り組んでみてください。
2,3か月程度もすれば、きっと良い成果が出ると思いますよ。