ここ最近ではマツコデラックスの番組やらでTVにもたびたび登場する「酸熱トリートメント」。
ホットペッパービューティーなどの美容院が打ち出す広告でも目にする人が多いと思います。
しかし、酸熱トリートメントって何?と美容院に来るお客様に質問されても、はっきりと答えられない、というお悩みをもつ美容師も多いかと思います。そこで、今回この記事を読む事で、お客様に酸熱トリートメントとは何か?を聞かれた時に自信をもって答えられるようになります。
Contents
酸熱トリートメントとは何か??
サルチル酸やレブリン酸、グリコール酸、あと、酸熱トリートメントの中でも最も代名詞と言ってもいい「グリオキシル酸」。これらの酸を成分としたトリートメントを毛髪に塗布し、加温器もしくはヘアアイロンなどのプレスによって「熱を加える」トリートメント技術を酸熱トリートメントと言います。
ここまで説明するともうお気づきかと思いますが、こういった「酸成分を含む」トリートメントを美容師が「熱処理を加えて」施術する事からこれらの言葉を短縮して「酸熱トリートメント」という言葉が生まれました。
各メーカーから出ているほとんどの酸熱トリートメントは、縮毛矯正の時に使う高温のヘアアイロン(ストレートアイロン)を使用し、有効成分に酸が含まれています。
酸熱トリートメントの定義
酸熱トリートメントとは一商品の固有名詞ではなく、各メーカーから出ている「酸成分と熱処理を加えるトリートメント全般」を言う名称のため、
酸熱トリートメントである定義とは、
1.毛髪に塗布するトリートメントに「酸成分」が含まれている事。
2.美容師が行う技術工程に「熱処理を加える」という工程が入る事。
上記2つが条件と言えるでしょう。
そのため、サルチル酸やレブリン酸、グリコール酸、グリオキシル酸以外にも、酸を使った成分が含まれているトリートメントで上記の2つの条件を満たすものであれば酸熱トリートメントと言えます。
しかし、近年では「グリオキシル誘導体」やphが中性から弱アルカリ性である「炭酸プロピレン」などの成分も出てきており、炭酸プロピレンは弱アルカリ性でありながら他の酸熱トリートメントのようにイミノ結合を形成できるため、酸性でなくとも毛髪内部で縮合作用し「イミノ結合」を形成するものであれば、広義として酸熱トリートメントとする見方もあります。
炭酸プロピレンとは..
Propylene Carbonate
(CAS RN:108-32-7 製品コード:P0525)構造式
別名 (英名) 4-Methyl-1,3-dioxolan-2-one 別名 (英名) 2-Oxo-4-methyl-1,3-dioxolane 和名 炭酸プロピレン 引用:東京化成工業株式会社
酸熱トリートメントはストレートアイロンを使った熱を毛髪に加える事によって、サルチル酸やレブリン酸、グリコール酸、グリオキシル酸などの酸が毛髪内部でアミノ基と架橋するため「イミノ結合」を形成します。
イミノ基
=NHなる2価の基。同一炭素原子に二重結合で結合している場合C=NHと、2個の炭素原子と単結合で結合している場合C-NH-Cとがある。イミノ基をもつ化合物にはイミン、イミドがある。出典:小学館 日本大百科全書
なぜ酸熱トリートメントをするのか??今までのトリートメントと何が違うの?
上記の「イミノ結合」とは、酸熱トリートメントを施術する際に美容師が行う熱工程のドライ、ブロー、ヘアアイロンの脱水や縮合作用の工程により、毛髪内部に酸成分が浸透しアミノ基と架橋する結合の事です。イミノ結合が脱水工程で強固となる事によって、毛髪にハリ,コシが出たり、また癖毛が伸びます。
酸熱トリートメント の最大の特徴と言えるのは、ずばりこの「癖毛がまっすぐに伸びる」という事でしょう。まっすぐに伸びる、と言い切ると誤解があるのですが、縮毛矯正とまではいかなくとも、弱いクセ毛程度だったら「ある程度」まっすぐになります。大事なのでもう一度言いますが、完全な真っ直ぐには伸びません。「ある程度真っ直ぐに伸びるので、クセが弱まる」位に考えておけば良いでしょう。これは、酸熱トリートメント以外には無い特徴です。通常のトリートメントであれば、艶々、サラサラになる効果はあったとしても、このような「クセ毛がまっすぐになる」という効果はありません。
このクセが暖和する(クセが伸びる)、という大きな特徴が、他のトリートメントと差別化をしやすく現在、美容院で流行っている「髪質改善メニュー」として全国の美容院で受け入れられているように思います。
酸熱トリートメントのメリット/デメリットとは
酸熱トリートメントの大きな特徴であるクセの伸び具合は、髪質によって変わります。
縮毛矯正ではないため、どんな癖毛、どんな髪質でも「効く」とは限りません。
酸熱トリートメントで結果が出やすい髪
加齢毛や、細毛、コシのない髪(軟毛)が効果が得やすいです。
癖でいうと、わりと「軽めの癖毛」の方が真っ直ぐに伸びやすい。特にグリオキシル酸は数ある酸熱トリートメントの中でもクセの伸びが良いと評判です。
酸熱トリートメントのメリット
1.クセが収まる(クセが暖和する、伸びる)
2.仕上がりが艶々、サラサラ
3.新しいメニューなので美容院側がメニューを打ち出しやすい
酸熱トリートメントで結果が出すらい髪
バージン毛、ダメージの少ない髪、剛毛(太い毛)は酸熱トリートメントで結果が出すらい髪質と言えます。
上記の髪質に対しては、薬剤の放置時間を長くするなどの工夫が必要です。あくまでトリートメントであり、縮毛矯正やストレートパーマではないため、縮毛矯正をしたような「完全な真っ直ぐの髪」を希望する方には向いていません。
グリオキシル酸に関しては、クセの伸びが良い反面、ハリコシもかなり出るのでお客さんによっては髪が硬くなったように感じる場合があります。この硬さを「ハリやコシが出た=メリット」と捉えるか、「硬くなった=デメリット」と捉えるかはお客さんと美容師次第です。
酸熱トリートメントのデメリット
1.カラーの色落ちが激しい(※これはどの酸を使うかによる)
2.髪が硬くなる(※これはどの酸を使うかによる)
3.クセが真っ直ぐに伸びきらない